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アメリカの不動産情報共有システム「MLS」とは? ~日本の不動産市場との違い~

出典:MLS.com

アメリカの不動産市場には「MLS(Multiple Listing Service)」と呼ばれる情報共有システムが存在し、不動産取引の透明性を支える重要な役割を果たしています。

MLSとは、不動産業者が物件情報を相互に共有するための会員制データベースであり、売り手のエージェント(仲介業者)が登録した物件情報を、買い手側のエージェントも含めて広く閲覧できる仕組みです。

このMLSに登録された情報を基に、一般消費者向けにも物件情報が公開されている点がアメリカ市場の大きな特徴です。

一般消費者でも物件情報を閲覧可能

MLSの最大の特徴は、一般の人でも物件情報にアクセスできるオープンな仕組みにあります。会員である不動産業者だけでなく、消費者も物件検索サイトを通じてMLSの情報を見ることができます。具体的には、Zillow(ジロー)やRedfin(レッドフィン)といった大手不動産情報サイトがMLSと連携しており、誰でも世界中からウェブ上でロサンゼルスを含む全米の売出物件を検索できます。各物件の販売価格、間取り、写真、築年数、過去の売買履歴まで詳細なデータが閲覧可能で、価格推移グラフや近隣の取引事例なども提供されています。

これは「誰でも自由に物件情報にアクセスできる」という点で日本とは大きく異なります。 日本にもREINS(レインズ)と呼ばれる不動産情報ネットワークが存在しますが、こちらは基本的に不動産会社間の情報共有システムであり、一般消費者が直接アクセスすることはできません。

またレインズに登録されている物件は市場全体のごく一部に過ぎず、掲載情報も限定的です。一方アメリカのMLSは売主から媒介契約を受けた物件は原則すべて登録する義務があり、違反すれば業者はMLSから排除されてしまうほど厳格な運用がなされています。その結果、市場に出ている物件情報を不動産会社が意図的に隠すことが極めて難しく、情報が公平かつ透明に開示されているのです。

出典:REINS

MLSを活用した物件情報収集の利点

投資家にとって、このMLSの存在は大きなメリットです。

第一に、自宅にいながら世界中どこからでもロサンゼルスの物件情報を入手できるため、現地に行かずとも市場リサーチをして、相場感や利回りを把握できます。

第二に、一人のエージェントに依頼すればMLS上のすべての物件を紹介してもらえるため、日本のように不動産会社ごとに異なる物件を探し回る必要がありません。日本では物件を探す際に複数の不動産会社を回るのが一般的ですが、アメリカではエージェント間の協力体制が整っており、買主側エージェントはMLSを通じて市場に出ている物件は原則すべて紹介できます。

第三の利点は、価格交渉力や投資判断に資する情報量が多いことです。MLS経由で公開されている情報には、物件の掲載履歴や価格変更履歴、同エリア類似物件の最近の売却価格なども含まれます。これらは投資家が「適正価格か」「将来値上がりが見込めるか」といった判断を下す助けになります。また不動産テック企業による分析レポートや評価スコアなども充実しており、物件の収益性を多角的に検討できます。加えて、MLSで公開されていることで売主・仲介業者側も市場価格とかけ離れた強気な値付けはしづらくなるため、市場全体として公正な価格形成が行われやすいという側面もあります。

日本との違いと注意点

総じてMLSの存在により、米国の不動産市場は「オープンで透明性が高い」と言われます。日本のように情報がクローズドでないため、不動産会社だけが知る「未公開物件」に特別な価値が生まれることも少なく、誰でも基本的に同じ情報にアクセスできます。

この公平性は投資初心者にとっても安心材料であり、自力で市場分析を行って投資判断を下しやすい環境と言えるでしょう。 しかし一方で、MLS上に載る情報が多すぎて取捨選択が難しいという面もあります。玉石混交の物件情報から良い投資案件を見極めるには、市場理解と分析力が求められます。また誰でも物件履歴が追えるということは、売却時に過去の購入価格や値下げ履歴が買主に筒抜けになるという意味でもあります。そうした透明性の高さゆえに強気の売却戦略が取りづらい面もある点には注意が必要です。

日本の投資家がアメリカのMLS情報を活用する場合、最初は専門用語や監修の違いに戸惑うかもしれません。弊社にご相談いただければ、各種サイトの利用方法をご説明することも可能ですので、ぜひMLSを活用ください。