ロサンゼルスの賃貸市場は、コロナ禍から大きな変動を経験しました。2020年のコロナ禍初期には都市部から住民が流出し、家賃相場が一時的に下落しました。その後、2021年から22年にかけて人々が都市に戻り始めると賃料は急騰し、2022年夏頃に過去最高水準に達しました(コロナ禍前と比べて20%以上上昇した地域もありました)。しかし2023年以降は新規供給の増加やリモートワーク定着による需要変化で市場が落ち着き、家賃はわずかながら下落傾向に転じています。
直近のデータでも賃料の調整局面が続いています。ロサンゼルス市では、2023年から2024年にかけて1ベッドルームの平均家賃が約3%下落し、$1,868程度になりました。この下落率は全米平均の4倍に達し、主要都市の中でも際立っています(同期間にニューヨークやシカゴは家賃上昇を記録)。2024年後半時点でも下落傾向は続き、ロサンゼルスの賃料は前年同月比で2~4%程度低い水準となっています。もっとも2022年のピークと比べれば依然高水準であり、2025年現在の中央値はピーク時より数%低い程度に留まっています。今後は新築物件の供給ペースや経済動向によって緩やかな上昇への転換も予想されており、南カリフォルニア大学の予測ではロサンゼルス郡の賃料は2024年から年平均1.5%程度の緩やかな上昇が見込まれています。
物件タイプ別の家賃・利回り
ロサンゼルスの賃貸家賃は物件の規模(間取り)によって大きく異なります。一般に部屋数が多いほど月額家賃は高くなりますが、購入価格との比率で見る利回り(年間家賃収入÷物件価格)は必ずしも部屋数に比例しません。以下に主な物件タイプの平均家賃と表面利回りの目安をまとめます。
物件タイプ | 平均家賃 (月額) |
想定利回り (表面) |
主な入居者層 |
---|---|---|---|
Studio(ワンルーム) | 約$1,700 | ~4% | 単身者(学生・若手社会人) |
1ベッドルーム | 約$2,200 | ~5% | 単身者、カップル |
2ベッドルーム | 約$3,000 | ~4.5% | カップル、小規模ファミリー、ルームメイト同士 |
3ベッドルーム以上(集合住宅) | 約$4,300 | ~4% | ファミリー、複数人のルームシェア |
戸建て住宅 | 約$4,900 | ~3% | ファミリー、富裕層の借主 |
※上記は2025年時点の概算値です。
Studioはキッチン含め一室のいわゆるワンルームタイプ、戸建て住宅は独立家屋(一戸建て)の賃貸を指します。利回りは表面利回り(グロス利回り)で、賃料と物件価格から算出した参考値です。
家賃水準
Studioタイプの家賃は平均約$1,700、1ベッドルームは約$2,200、2ベッドルームで$3,000程度と、部屋数が増えるごとにおおよそ$700~$800ずつ上昇しています。3ベッドルーム以上になると月額$4,000台後半まで上がり、特に戸建て貸家では平均で約$4,900と高額です。高級住宅地の大きな戸建てでは月$7,000を超えるケースも見られます。
利回りの違い
一方、賃貸利回りを見ると小型物件ほど相対的に高利回りを確保しやすい傾向があります。平均的な1ベッドルーム物件の表面利回りは約5%と試算されており、これは同地域の大型物件より高い値です。実際ある調査では、ロサンゼルスの1ベッドルーム物件の平均購入価格は約$595,000・賃料$2,495で利回り5.03%と算出されています。これに対し4ベッドルーム以上の高額住宅は購入価格が平均$1789,000万・賃料$4,500程度で利回り3.02%にとどまりました。つまり戸建てなど大型物件ほど投資利回りは低下し、小型~中型のアパートで高めになる傾向が見られます。Studio(ワンルーム)については立地次第ですが、平均では利回り約4%前後で1ベッドルームよりやや低めとのデータもあります。これは都心部の新築高級スタジオ物件など、購入価格が割高な物件では賃料に対して利回りが伸びにくいことを示唆しています。
(参考:Zumper.com、Global Property Guide)