日本では時間厳守や丁寧な施工が当然視されますが、アメリカの施工業者は「時間にルーズで適当だ」という噂を耳にすることがあります。実際のところはどうなのでしょうか。
統計でも住宅関連はクレームが多い
アメリカの消費者苦情統計によれば、住宅工事やリフォームは車関連に次いで苦情の多い分野となっており、その内容は「工事の仕上がりが粗い」「工事を開始しない・完了しない」というものが目立ちます。(参考:rismedia.com)
例えば、リフォーム代金を支払ったのに工事が途中で止まってしまう、約束の日時に業者が来ない、といった事例もしばしば報告されています。
また連邦取引委員会(FTC)は 2025 年 7 月、リフォーム融資を巡る不当表示で消費者に総額 290 万ドル余りを返金する措置を発表しており、施工関連のトラブルが依然として深刻であることを示しています。
アメリカの建設業界全体を見ても、工期の遅延は構造的な問題です。KPMGの調査では、建設プロジェクトが当初予定から10%以内の遅れで収まるケースはわずか25%しかなく、規模が大きくなるほど遅れが顕著になると報告されています。つまり期日通り完了する方が珍しいほどで、これは多くの要因(設計変更、予算超過、人手不足、天候、許認可の遅れなど)が絡むためです。また信頼性の面でも、過去の世論調査では建設請負業者の業界に「高い誠実さ」を感じる人は23%に留まったとの結果もあります。これは他職種と比べても低い水準で、実際2000年頃から住宅リフォーム関連の苦情が消費者苦情の最大要因になっていることとも符号します
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契約面では、日本のように細かい工期や品質保証を厳格に取り決めないケースも見られます。商業プロジェクトでは遅延に対する罰則(遅延損害金)が契約に組み込まれることがありますが、個人宅のリフォーム・建築では契約が曖昧なまま進むケースもあり、トラブル時に施主が泣き寝入りするリスクがあります。
日本との文化や制度の違い
こうしたアメリカの施工業者の「ルーズさ」には、労働環境や文化の違いも影響しています。例えば労働時間について、米国の建設労働者は週40時間・土日休みが原則であり、超過勤務や急な休日出勤は労働組合によって厳しく制限されています。日本のように工期優先で休日返上・長時間労働してでも納期を守る、という習慣とは、無理なスケジュールの場合は素直に遅延を受け入れる傾向があります。
アメリカでは複数の現場を掛け持ちする小規模業者も多く、一つの現場の作業が別の現場都合で中断・遅延することもしばしばです。加えて、建築許可の取得や検査手続きに時間がかかることも遅れの一因です(許認可当局の手続き待ちで工事が中断するケース)。もともと文化的にも、時間に対する厳格さが日本ほどではなく、多少の遅刻や予定変更は日常茶飯事との声もあります。これらが重なり、結果として日本人から見ると「ルーズでいい加減」に映る場面が多いのです。
業者の見極めが重要
以上のように、「適当」な業者が存在するのは事実ですが、すべての施工業者がそうではありません。信頼できる業者もおり、彼らを見分け契約することが重要です。まず州や自治体のライセンス(免許)を正式に取得し、保険加入もしている業者を選ぶことで、無責任な業者に当たるリスクを下げられます。契約時には工事内容だけでなく完工予定日や支払いスケジュールを明記した書面契約を結ぶことが重要です。
工事開始前に大金を支払わず、着手金は少額に抑え、完工まで全額支払いしないようにすることで、万一工事が滞った場合の交渉材料になります。「工事が終わらなければ全額払われない」状況を作れば、業者のモチベーション維持につながります。さらに工事中は進捗状況を記録(写真やメモ)し、問題があればすぐに指摘・協議することが大切です。アメリカでは契約に基づき消費者保護機関やライセンス管理局に苦情を申し立てる仕組みも整っているため、泣き寝入りせず然るべき手段を取ることも可能です。
とはいえ、いったいどの業者が信頼できるのかを見極めるのは非常に難しいのが現実です。弊社では信頼できる業者選びはもちろん、日本人エージェントが物件探し~メンテナンスまで一貫してサポートいたしますので、不安をお持ちの方はぜひご相談ください。