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コストコ上に大規模住宅? LAの新しい住宅開発トレンド

出典:Thrive Living

ロサンゼルスでは、大型小売店の敷地を活用して住宅を供給する新たな開発トレンドが注目されています。その代表例がコストコ店舗の上に住宅を建設するという画期的なプロジェクトです。

コストコの上に800戸の住宅

サウス・ロサンゼルスのボールドウィンビレッジ地区に計画中のこのプロジェクトでは、1階部分に会員制量販店コストコを誘致し、その上部の複数フロアに合計800戸もの住居を設ける構想となっています。800戸のうち23%にあたる184戸は低所得者向けのアフォーダブル住宅として確保され、残る616戸も中所得層向けの「ワークフォース住宅」(補助なしでも比較的手頃な価格帯の賃貸)となる計画です。

いわば「住宅+仕事+買い物」を一体化した大型複合開発であり、全米でも初のコストコ併設型住宅プロジェクトとして注目されています。

開発を手がけるのは不動産会社Thrive Livingで、ロサンゼルス市住宅当局(HACLA)も協力する官民連携プロジェクトです。従来、商業用途に指定された土地にこれほど大規模な住宅を併設するのは難しかったのですが、本件はカリフォルニア州の新法AB 2011(住宅と雇用促進法)の適用第1号案件として認められました。AB 2011により一定条件下で商業ゾーンにもアフォーダブル住宅を含む住宅開発が認可しやすくなったことが、この大胆な計画実現を後押ししました。

開発予定地は病院跡地の5エーカーほどの広さで、完成すればコストコの店舗・駐車場に加え、フィットネス施設やコミュニティスペース、中庭や屋上プールなど住民向けアメニティも備えた巨大複合住宅コミュニティが誕生する見込みです。地元住民にとっては近所にコストコができることで買い物の利便性が向上するほか、数百人分の雇用が創出されるというメリットがあります。開発側にとっては住宅不足に応える新しいモデルケースとなります。大規模店舗と住宅の組み合わせは都市部の土地有効活用策として今後広がる可能性があり、「コストコ上に住宅」はLA発の注目トレンドとなっています。